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桑田佳祐が命を懸けた、MUSICMAN 全曲レポートパート2

MUSICMAN全曲レポートまだまだ続きます!

 

 

 

 

OSAKA LADY BLUES 〜大阪レディ・ブルース〜

スネアドラムのロールが印象的で、軽快なバンドサウンドの楽曲である。クラプトンが酔っぱらいながら愉快なブルースをやったらこんな感じなんだろうか、いや違うな…そんなことを考えながら聞いていた。
テーマは大阪であり、関西弁や大阪の地名を多く織り込んだ楽曲。

 

前三曲にあった雰囲気から打って変わる。この曲は歌詞をさらっと聞き流し程度で、聞いてほしいが、いつのまにか桑田が持つカオスな世界観に引き込まれてしまう。

 

EARLY IN THE MORNING 〜旅立ちの朝〜

桑田佳祐お得意のエロソングで、朝のセックスをテーマにした楽曲である。ハウステンポとエレクトリックサウンドが全面的にフィーチャーされ、挑戦的な作品である。

 

また、『あえぎ声』のサンプリングが多用され、『ことの最中』であることを表現している。面白いことにめざましテレビのテーマソングだった。

この曲を聴きながら頭の中で想像してクスッと笑えば良いだけ。深いことは考えない。少しはエロさも良いじゃないか。結局人間は喜びとか快楽を欲しがる生き物なんだ。震災後の宮城ライブを見た時そう思った曲だった。

 

傷だらけの天使

横浜をテーマにした楽曲。歌謡サウンドとソウルが混ざった曲である。ザ・キングストーンの”グッドナイト・ベイビー”のような、歌謡ソウルな作品。(あまり歌謡ソウルは詳しくない…)女に振られた男が仲間同士で励まし合う光景をテーマにした曲。


"EARLY IN THE MORNING”までがライブの本編ならこの曲からはアンコールだと思って聞いてほしい。アンコールは肩の力を抜いて純粋なポップスを楽しんで!と語りかけてくれる楽曲だ。


本当は怖い愛とロマンス

ビートルズの”Lady Maddona”のような、跳ねたモータウンサウンドが核となる楽曲。いつもは許してくれたのに急に態度が変わった彼女を男目線で描いた楽曲。

 

ビートルズが活躍した1960年代は、社会への不満やリスナーが楽しめる楽曲を多く作られた時代である。傷だらけの天使から作り得た流れを大事にし、ポップソングとしての位置づけで紹介するが、アルバム全体から見ると、ロック歌手としての桑田佳祐の役目を担った大切な一曲である。

 

それ行けベイビー‼︎

エレキギター一本で弾き語る楽曲。

ステージには演者とスポットライトのみ。こんな光景を想像してほしい。過去のアルバム "孤独の太陽" ではアコギを持ち、フォークロックを桑田流に体現した。そこから派生したものかは分からないが、エレキの弾き語りは新鮮に映った。

 

狂った女

ギターリフから始まり、ハードロックな要素を持つ楽曲。間奏ではホーンセクションによるジャズアレンジがされており、聞き応え抜群の曲である。

Madonna =マッド女→狂った女という由来がある。

 

”それ行けベイビー”とは真逆の編成で始まるため、『あれ?さっきは一人だったのに、バンドメンバーがいるじゃないか!!』と思わせてくれる。ボルテージが最高調になるパワーのある作品だ。


悲しみよこんにちは

ビートルズの”悲しみをぶっ飛ばせ”でジョン・レノンが叫ぶように、人は悲しい時こそ明るく振る舞う生き物だ。そんなことを教えてくれる曲である。根底は”グッパイ・ワルツ”と同じかもしれない。しかし、映画音楽のようなアプローチで気持ちが軽くなるような曲だ。

 

”狂った女”のサンプリングから間髪入れず始まるこの曲は、打って変わって悲しみに対峙しながらも明るいイントロを持つ曲である。
このアルバムは、現代社会・ロマンス・悲しみ・エロスの4本柱で成り立っている。その流れを、傷だらけの天使からこの曲までダイジェストで僕らに振り返らせてくれる。もしかしたら、17曲あるうちのこの曲が、ある意味エンディングなのかもしれない。

 

月光の聖者達

ピアノとともに力強く響くシンバルやティンパニー、それに乗っかるボーカルが壮大かつ静かなバラードに仕上げる。このレビューの中で何度も出てきたビートルズの活動を基に作り上げた曲で、”夜明けの首都高"とは空港からホテルに向かう姿をバッグに、彼らの楽曲 “Mr.moon light” が流れる映像の一場面である。

ビートルズ桑田佳祐桑田佳祐とリスナーの関係性を歌詞にしている。

 

この曲は、アルバムのエンドロールだと僕は思う。“現代人諸君‼”から”悲しみよこんにちは”までが持つ様々な物語を味わい、その余韻を楽しむ時間なのだ。
しかし、それだけじゃない。このアルバムを作るまでの集大成を示し、これからも前に進むことを示唆している楽曲なのだ。

 

さいごに

このアルバムが発売されてまもなく8年となる。しかし、全く色褪せず、鮮度が高い作品だと思っている。

今は買いたい曲だけ買える時代だが、一曲ではなく、一枚のアルバムで聞いてほしい。なぜなら、どれも欠けてはいけないからだ。一曲欠けたら意味がない。

是非、この記事を読みながら全体を通してじっくり聞いてほしい。

 

 


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